海外番外編

RORO貨物船の旅

日本最速のRORO船の
乗船記
三上さんより

 

またマニアックな船旅を経験してきた。ブルーハイウェイラインの
高速RORO『さんふらわあ とまこまい』だ。昨年9月に就航したニューフェイスで、
乗船の機会を得たので、苫小牧-東京便に乗船してきた。
 
6月9日、苫小牧発の上り便だ。早々に仕事を切り上げて18時35分、仙台空港発ANA729便にてまずは千歳空港まで。1時間10分の空の旅。到着後、バスにて苫小牧駅に向かう。
苫小牧駅到着後、タクシーでフェリーターミナルへ。フェリーターミナルには、午後10時過ぎに
到着。着後、B.H.Lのオフィスに向かう。岸壁には、乗船する『S.Fとまこまい』、
大洗行きの『S.F つくば』、川崎近海の八戸行きの『シルバークイーン』が荷役の真っ最中。
オフィスにて私の到着を告げて車で本船に送っていただく。前部ランプより乗船。
フェリーではないので、エレベーターがない。長い階段を上ってやっとの思いでハウスに入る。
まずは、キャプテンルームに。今回は、中山キャプテン。「お待ちしていました。航海中は、
ご自由にブリッジへどうぞ。私は、ほとんどノータッチでクルーに任せてますから。」とても親切なキャプテンに一安心。持ってきたフィリピンで撮って来たもとB.H.Lのフリートの写真で
しばらくTALK TIME。「懐かしいですね。後でクルーにも見せましょう」気に入っていただけた
ようだ。その後、一泊する我が家へ案内していただく。
本船は、ドライバーを12名まで乗せることができるが、今回は、特別室、オーナーズルームを
りようさせていただく。MY CABINは、特等室なみ。ツインベット、テレビ、ビデオ、冷蔵庫、
バストイレ付き。洗面用具も袋に入って置いてあった。気分は、スイートルームだ。
とてもくつろげそうだ。出航まで少し時間があるので、船外に出て写真を撮ったりして過ごす。
船内ウォッチも少し。ドライバースペースは、後部ハウス寄りにあってすべてシングルルーム
、しかしバストイレなどはついていない。おなじB.H.Lの『さんふらわあ さつま』クラスの一等Bと言ったところだ。食堂とちょっとしたカーペットの部屋がある。食事は、すべて自動販売機で
冷蔵庫、電子レンジなどもあるので弁当を持ち込む人も多いそうである。
本日のドライバーは、2名のようだ。

 

その後、出航時間が早まるようなので、早速、ブリッジへ。遅くなったが、
本船のプロフィール。約12500総トン、全長199m,幅24.5m,エンジン2基64800馬力、
速力30ノット、クルーは、17名。ランニングメイトの『ほっかいどう丸』(川崎近海)と東京−苫小牧を日曜日を除く毎日、航行している。ブリッジは、とても広い。出航は、定時より15分ほど
早まるようである。「我が社では、初めて設置されたジョイスティック装置なんですよ!」と
右舷ウイングでキャプテンが、説明してくれる。「このレバーの向きに進んでくれるので
とても楽ですが、簡単過ぎてねえ….」と最新の装置に不満もあるのかなと思った。
本船は、まだ離岸接岸時にタグボートを使ったことがないそうである。本船は、
三菱下関で建造されたが、三菱にとっても実験船のようで、ブリッジの左舷ウイングの床には
、コンピューターなどデータ取りのための機械が所狭しと設置してあった。11時10分、
ランプウェイが閉まる。いよいよ出航だ。「スタンバイエンジン」「スタンバイエンジンサー」
ブリッジは、キャプテンとC/Eの二人。11時15分「オモテ、トモ レッコ」の合図で出航。
キャプテンは、ジョイスティックをゲームのように巧みに扱い離岸していく。
本船のスラスターは、かなり強力と見た。瞬く間に離れていく。
「このままの向きで進んでくれるんですよ。」と緊張の中でもキャプテンは、私にいろいろと
話し掛けてくださる。その後、チョッサー、クルーがブリッジに戻り




207度「ハーフ ア ヘッド」約10ノットで港内を進む。10分ほどで沖防波堤を交わす。
「翼角32度、フル ア ヘッド」で進む。その間もキャプテンは、いろいろと声を掛けてくださる。
「それでは、後ごゆっくりどうぞ」とキャプテンよりチョッサーにバトンタッチ。
「フルスピードになるまでもう少しかかりますよ。」とチョッサー。真っ暗のブリッジの中で
いろいろと船の話題で盛り上がる。本船の後に僚船「ほっかいどう丸」ができたのでこちらの
結果があちらに生かされているそうです。また本船の車両甲板は、2層になっているが、
それぞれのランプウェイを使うので、確かに効率はいいらしいが、後部ランプウェイは、
大きく重量もあるそうで左舷側に100トンの固定バラストを積んでいるそうである。やがて速力計を見ると29ノットに達している。振動もそれほどではない。また本船は、スリムな船体なので
、尻振り現象がよく起きるそうである。2基1舵のため直進性は、良好だけど舵の効きは、
あまりよくないそうである。また普段は、燃料節約のためスタビライザーは、使用しないとのこと。事実、今日も使っていない。結局、最高速力を確認して2時、尻屋崎沖でブリッジから失礼した。

 キャビンに戻ってテレビをつけて買ってあったカンビールで祝杯。私のキャビンは、振動が結構大きい。建造してみないとどこが振動が大きくなるかわからないのだろうが、まっ、耐えられる程度なのでしょうがない。ビールを飲んでから今日の強行軍だったスケジュールのためか急に眠くなり、そのままバタンキュー。





翌日、8時頃、起きる。振動が気になっていたが、けっこう熟睡できた。 
起きてすぐブリッジへ行って現在の場所の確認。後、1時間ほどで金華山沖。9時前後に
ランニングメイトの『ほっかいどう丸』とすれ違うと聞いていたので、食堂に行ってまずは朝食。
食堂は、私一人。N H Kの朝のドラマを見ながら朝食。食べ終わったら厨房の洗い場へ。
これは、もう慣れたもの。




キャビンへ戻りカメラを持って再びブリッジへ。相変わらず速力計は、29ノットを指している。
「あっ、見えてきましたよ。でもかなり沖を航行しているなあ。」とセカンドッサー。私も双眼鏡を
覗いたが、確かに左舷前方より『ほっかいどう丸』が向かって来てはいるが、
本船より2-3マイルは沖なので私のカメラも役立たず。諦めが肝心で、その後は、
しばらくセカンドッサーとまた船談義。ところで本日の積荷は、シャーシ134台、トラック5台、
乗用車4台。今年に入って積荷は、減っているそうである。「この海域は、行き交う船も
少ないので退屈でしょう」とセカンドッサー。確かにその通り。1時間ほどでブリッジを出て
デッキに出る。デッキは、高速のためものすごい風である。景色でも撮ろうとしたが、
天気もいまいち、すぐにキャビンに退散




その後、ランチタイム。食堂に行くが、また私一人。本日のランチメニューは、
冷やしうどん、太巻きすし、ちくわの天ぷらとボリューム万点。味もなかなかなもの。
空腹だったせいか10分ほどでランチタイムは、終わり。その後、しばらくキャビンでくつろぐ。




さて、今回は、特別に乗船させていただいた。私は、趣味で船の模型製作もしているが、
本船の模型を昨年製作して(1/400 ペーパーシップ)それをB.H.Lに写真をメールしたところ
業務部の方からイベントに展示したいので借用したいと言うご希望をいただき、提供して
そのお礼に本船の往復乗船券をいただいたと言うわけである。往復乗船したかったのだが、
スケジュールがなかなか取れなくて、片道だけになってしまった。昨年の『神加丸』以来、
1年ぶりの航海なので楽しみにしていた。長い時間、乗っていたいものだが、高速のため
以前より10時間ほど航海時間が短いのが、ちょっと残念である






午後になって、またブリッジへ。ブリッジには、昨晩いらっしゃった加藤チョッサーとクルーの
二人がワッチ中。14時、銚子沖を航行中。速力計を見ると27ノットになっている。
「この辺より黒潮がきつくなってスピードが出ないのですよ。」とチョッサー。本船には、
自動航行レーダーが付いていて画面にあらかじめコースを設定しておいてそれ通りに進む
ようになっている。チョッサーが説明してくださるがその画面は、なんとなくゲーム感覚の
ようである。チョッサーは、16時までのワッチなのでその間船談義で盛り上がる。その後、
またキャビンへ。東京到着まで後、5時間ほど。あっという間だ。




午後5時頃、野島沖あたりを航行中、またブリッジへ。すでにキャプテンもいらっしゃった。
ずっと曇りベースできているので、この時間でもなんとなく暗い。「三上さん、夕食どうぞ」と
ブリッジに入って30分ほどで司厨部の方呼びにきた。「彼らも仕事で片づけがありますから、
夕食食べていらしてください。」とキャプテンに言われてディナータイムをとりに食堂へ。
最後の食事のメニューは、BIGサーロインステーキ、魚のフライ、サラダ、スープとフルコース。
肉は、大きくて味付けもGOOD。とても良が多いが、船に乗ると食が進むほうなのでごはんも
スープもお替り。また食堂には、私一人。でもとても美味しい夕食を味あうことができた。
 夕食後、再び、ブリッジへ。「今日は、ずいぶん船が多いなあ。」とキャプテン。すでに東京湾に入ってるので出航船、入航船ともだいぶ増えてきた。しかしこの後、一番混むと言われる浦賀水道に入っていく。





18時15分、久里浜沖を航行中。速力は、24ノット。クルーは、東京マーチスと連絡を取り合う。
ブリッジは、すでにキャプテンはじめ5人のクルーでなかなかの賑わい。緊張の中にも時折、
冗談を交えながら船は、進む。18時40分、横須賀沖。速力は、13ノットまで落ちている。
「スターボード20°」いよいよ浦賀水道に差し掛かる。前方を大型コンテナ船が先行している。
速力は、10ノットほど。「この規制がなければ、本船のパワーも発揮できるのですがねえ。」と
キャプテン。その通りだ。せっかくの30ノットの速力でもここでは意味がない。
浦賀水道を無事通過して、速力を上げる。19時40分、羽田沖。着陸していく飛行機が
ひっきりなしに上空を通過していく。羽田空港もラッシュアワーの時間のようである。20時、
キャプテンよりクルーにスタンバイがかかる。「ポート20°」「ポート20°サー」「スローダウン
エンジン」航海用語のオンパレードが始まる。20時20分、東京港沖防波堤通過。速力は、
10ノット。「290°」「スローダウン」「ポート20°」「ストップ2」東京フェリーターミナルは、
もう目の前だ。「スラスターサイド」キャプテンが右舷ウイングのジョイスティックのところに
移動する。「岸壁まで10m」オモテのチョッサーより指示。「今日は、ちょっと失敗気味です。」と
キャプテン。それでも確実に岸壁に近づく。「トモ下がり2M」着岸したようだが、ちょっと前に
出過ぎたため後進する。そして20時40分「オールフィニッシュ」で定時より10分ほど早く
無事到着。フェリーターミナルには、本船のみ。ターミナルも暗い。キャプテンにお礼を言って
船を前部ランプウェイより下りた。弱い雨が降っている。21時間ほどのクルーズだったが、
日本一の高速船に乗った満足感を味わうことができた。貨物も少ないそうだが、
ぜひ頑張ってもらいたいものだ。
最後に、今回、お世話になったB.H.Lの比護様に紙上を借りてお礼申し上げます。


 終わり



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